再生医療
論文
安全性に関して
世界中で、本再生医療等で用いる特定細胞加工物とほぼ同様の細胞加工物(自己脂肪由来間葉系細胞)が製造され、100件を超える臨床研究で使用されているが、これらすべての症例で重大な問題は発生していない。すなわち、間葉系幹細胞の培養方法は今回の方法とほぼ同様の手法を用いられており、安全性と妥当性が担保されていると考える。大串ら, 日本再生医療学会雑誌 9:393-400, 2010
用いる細胞によっては腫瘍化する危惧があるが、多施設における調査で間葉系幹細胞の腫瘍化の報告大串, 再生医療 9:393-400, 2010
また、培養に用いられるFGF-2は間葉系幹細胞の培養において広く用いられている。Luis et al., Methods Mol Biol 698:253-278, 2011
なお、移植に伴う危険性として、短時間に静脈投与した細胞が肺の血管を閉塞して肺梗塞を発症する可能性が考えられるが、本再生医療等では輸血用フィルターを使用し時間をかけて投与を行うのでその可能性はほとんど無い。
島根大学附属病院にて低アルカリフォスファターゼ小児患者に対して間葉系幹細胞を10回以上行なわれた静脈投与でも肺梗塞などはみられなかった。竹谷ら, 再生医療 13:400-406, 2014
脳卒中に対する自家骨髄由来間葉系幹細胞の点滴投与は有効であった
【臨床研究1】
2005年にBangらは体外培養した自家骨髄由来間葉系幹細胞を脳卒中患者に投与したところ3ヶ月と6ヶ月の時点ではBarthel Indexが優位に良好であったと報告した。Bang et al., Ann Neurol 57:874-82, 2005
【臨床研究2】
2010年にLeeらは自家骨髄由来間葉系幹細胞治療群16 例と対照群36 名と無作為化した上、同様の臨床試験を施行したところ、死亡率とmRS(0~3)の割合が治療群では対象群に比して良好であったと報告した。Lee et al., Stem Cells 28:1099-106, 2010
【臨床研究3】
2012年に本望らは脳卒中後片麻痺患者12名に対して自家骨髄由来間葉幹細胞を経静脈的に投与する前向き研究を行ない、損傷領域の縮小及び身体機能改善が得られたと報告するなど、同様の細胞・移植方法を用いた研究が行われているが有害事象の報告は無い。Honmou et al., Brain 134:1790-1807,2011
間葉系幹細胞は損傷している組織に集積する
間葉系幹細胞は損傷している部分や炎症を起こしている組織に遊走する傾向がある。Chapel A et al.,J Gene Med 5:1028-1038, 2003; Nasef A.,Transplantation 84+L97:231-237, 2007
中枢神経障害モデルラットに対する間葉系幹細胞の静脈内投与により、投与された間葉系幹細胞が損傷領域に選択的に遊走する。Honma et al., Exp Neurol 199:56-66,2006; Horita et al., J Neurosci Res 84:1495-504, 2006; Liu et al., Brain 129:2734-45, 2006;
Onda et al., J Cereb Blood Flow Metab 28:329-40, 2008;Ukai et al., J Neurotrauma 24:508-20, 2007; Toyama et al., Exp Neurol 216:47-55, 2009
間葉系幹細胞治療は、発症早期の方が効果は得られやすい
中枢神経障害モデルラットに対する骨髄由来間葉系幹細胞の静脈内投与により、脳血液関門が回復した慢性期でも損傷領域に選択的に投与された間葉系幹細胞が遊走する。損傷領域の縮小及び機能改善は早期の投与群の方が得られた。Komatsu et al., Brain Res 1334:84-92, 2010
間葉系幹細胞はサイトカインも分泌する
中枢神経損傷モデルラットに対する骨髄由来間葉系幹細胞の静脈内投与により、投与された間葉系細胞は脳損傷部位に到達し、BDNFやGDNFなどのサイトカインを介するメカニズムで強力な神経保護作用を発揮する。BDNF: Nomura et al., Neuroscience 136:161-9, 2005)
GDNF: Horita et al., J Neurosci Res 84:1495-504, 2006)
骨髄由来間葉系幹細胞は血管新生など土台を作り組織を修復する
中枢神経障害モデルラットに対する間葉系幹細胞の静脈内投与により、投与された間葉系細胞は損傷巣に到達し、損傷局所で血管新生を誘導することが判明している。Liu et al., Brain 129:2734-45, 2006; Onda et al., J Cereb Blood Flow Metab 28:329-40, 2008; Toyama et al., Exp Neurol 216:47-55, 2009; Ukai et al., J Neurotrauma 24:508-20, 2007
骨髄由来間葉系幹細胞は神経細胞に分化する
中枢神経障害モデルラットに対する骨髄由来間葉系幹細胞の静脈内投与により、投与された間葉系細胞は損傷部に到達し、損傷部位局所でアストロサイトに分化することが判明している。Martin A et al., Neuro Report 10:1289-1292, 1999
骨髄由来間葉系幹細胞は、神経組織を修復し、身体機能を改善させる
中枢神経モデルラットに対する骨髄由来間葉系幹細胞の静脈内投与により、損傷領域の縮小及び機能改善が得られたとの多数の報告がある。Kai et al., Stem Cells Interational ID2153629, 2017; Saski et al., Stem cell Research 8:96-109, 2017; Yousefifard et al., Stem Cell research & Therapy 7:36-49,2016; Watanabe et al., Stem Cells 33: no6: 1902-1914; Chen et al., J Neurol Sci 189:49-57, 2001; Li et al., Neurology 59:514-23, 2002; Nomura et al., Neuroscience 136:161-9, 2005; Honma et al., Exp Neurol 199:56-66, 2006; Horita et al., J Neurosci Res84:1495-504, 2006; Liu et al., Brain 129:2734-45, 2006; Onda et al., J Cereb Blood Flow Metab 28:329-40, 2008; Ukai et al., J Neurotrauma 24:508-20, 2007; Omori et al., Brain Res 1236:30-8, 2008; Toyama et al., Exp Neurol 216:47-55, 2009; Komatsu et al., Brain Res 1334:84-92, 2010
間葉系幹細胞は長期保存が可能である
間葉系幹細胞が長時間細胞懸濁液の状態で十分な細胞活性を有することや長期の冷凍保存にも耐えうることは報告されている。Muraki et al., Tissue Eng 12:1711-9, 2006; Kotobuki et al., Tissue Eng 11:663-73, 2005
間葉系幹細胞の投与ルートは静脈内投与が最も侵襲性が少ない(安全性が高い)と考えられる
投与方法の検討:投与ルートとしては損傷部への局所投与、動脈投与、静脈投与が考えられる。Eckertらは神経障害性モデルラットに対する間葉幹細胞投与に関する46研究から39研究を評価し、効果は投与ルートに関わらず神経学的・行動学的改善が得られているとした。Eckert et al., J Cereb Blood Flow Metab 33:1322-34, 2013
また、Leiらは間葉系幹細胞の多数の臨床研究のレビューを行ない、移植ルートとしては侵襲性がより少ない静注投与がより優れていると分析している。Lei et al., Biomed Res Int Feb 26., 2014
この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)
医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役
学歴・職歴
- 平成15年3月
- 大阪医科大学卒業
- 平成15年5月
- 大阪医科大学附属病院にて初期研修
- 平成17年4月
- 大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
- 平成17年5月
- 大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
- 平成19年3月
- 大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
- 平成19年4月
- 大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
- 平成21年4月
- 医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
- 平成23年3月
- 大阪医科大学大学院医学研究科卒業
- 平成30年2月
- 福永記念診療所 部長に就任





