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日本高血圧学会は新時代「令和」に合わせて、5年ぶりに改定した高血圧の治療方針を示しました。今回は、ヨーロッパの血圧の基準と合わせてご紹介します。
ヨーロッパの血圧の基準
2018年6月、第28回欧州高血圧学会(ESH2018)において、ヨーロッパにおける高血圧治療のガイドラインが発表されました。
高血圧の基準は、従来通り140/90mmHg以上が「高血圧」とされ、変更はありませんでしたが、高齢者の降圧の目標(150-140/90mmHg)が削除され、高齢者を含め少なくとも140/90mmHg未満を降圧の目標値としています。(身体の状態が許容されるのであれば、130/80mmHg未満を目指すものとされています。)
後述する日本高血圧学会が2019年に発表した治療方針は、このヨーロッパの基準に近いものとなっています。
日本高血圧学会による最新の治療方針
それでは、2019年に日本高血圧学会が発表した高血圧の基準や治療方針について見ていきましょう。
治療目標は130/80
血圧を下げるほど、脳卒中や心筋梗塞になるリスクが下がるので、5年ぶりに、これまでより厳しい「治療目標」が設定されました。日本高血圧学会では、治療の基本を「生活習慣の改善」に置き、患者さんにどこまで徹底させられるかが、課題となっています。
診断水準
高血圧が脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを高めることは、国内外の研究で裏付けられています。そして、日本において高血圧は最も患者さんが多い病気と云われています。病気か否かを判断する「診断基準」で【上-140以上、下-90以上】に達した人の数は推計4300万人と云われ、60歳を境に急増して、65歳以上の高齢者では2人に1人にものぼります。
診断基準の他に、患者さんが目指す数値として治療目標と云うのが設定されています。診断基準は今回の改定では変更されていませんが、治療目標は前回から10ポイント引き下げられ、【上-130未満、下-80未満】とされました。
アメリカでは2017年、診断基準を10ポイント引き下げ、【上-130以上、下-80以上】とされました。ヨーロッパでも昨年、診断基準は変えずに、18歳~65歳の治療目標を10ポイント引き下げて、【上-120~130、下-70~79】としました。今回の日本の対応はこのヨーロッパに近いものとなっています。
学会によれば、上で10ポイント、または、下で5ポイント下げるだけで、脳卒中の発症リスクが30~40%、心筋梗塞などで20%減らせると分かっています。40歳~64歳の中高年齢者約5万人を国内追跡調査の結果、正常血圧(上120未満、下80未満)から上で20ポイント、または下で10ポイント上がると、脳や心臓の病気の発症確率が3倍になると示されています。
厚労省によると、脳と心臓の病気で年間計31万人以上が亡くなっています。2つの病気を合計した国民医療費は、がんに次ぐ2番目の規模だけに、高齢化社会の日本にとっては、高血圧予防が緊急の課題と云えます。
グレーゾーン
今回の指針には、グレーゾーンと呼ばれる、「高血圧ではないが正常血圧を上回る=高血圧予備軍(上120~139、下80~89)」の対策が盛り込まれています。脂質異常症や糖尿病の有無、病歴などで、脳や心臓の病気発症リスクを低・中・高等の3段階に分けて、それぞれの対策を示しています。例えば、糖尿病や慢性腎臓病があって高リスクな場合は、上130~139、下89~89の時には、薬による治療の対象となります。大きな持病がない低・中等リスクの場合は、医療機関を受診しないケースもあります。
高血圧は別名サイレントキラー
高血圧は命に関わる病気を引き起こしますが、発症前の自覚症状が乏しいことから、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、塩分の摂り過ぎやストレスなどが原因とされています。高い圧力がかかり続けた末に、弾力を失って血管がもろくなると、動脈硬化になります。脳卒中や心筋梗塞の他に、もろくなった大動脈の一部が異常に膨らんだ大動脈瘤や、血管の内壁が裂ける大動脈解離のリスクも高まります。また、老廃物をろ過する機能が低下して、慢性腎臓病の原因にもなります。
新しい指針では、高血圧予防として、①食塩摂取量を1日6g未満、②禁煙・禁酒、③ジョギングなどの有酸素運動を毎日30分以上 などが勧められています。
この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)
医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役
学歴・職歴
- 平成15年3月
- 大阪医科大学卒業
- 平成15年5月
- 大阪医科大学附属病院にて初期研修
- 平成17年4月
- 大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
- 平成17年5月
- 大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
- 平成19年3月
- 大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
- 平成19年4月
- 大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
- 平成21年4月
- 医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
- 平成23年3月
- 大阪医科大学大学院医学研究科卒業
- 平成30年2月
- 福永記念診療所 部長に就任





